山田 岳彦 ㈱アール・エイチ・ワイ 音楽教室・弦楽器販売部門 担当

アール・エイチ・ワイで音楽教室のスタッフとして、日々の管理と受付、弦楽器の購入や防音室についてのご相談などを担当しております。

 

「自己紹介の文をひとりづつ書くように」と社長から言われた時、とても困りました。

 最近、文章を書く事があるのは入荷してきた弦楽器の紹介文を書くときなのですが、同じように自己紹介文を書いてみようと思うと、30代後半になっても「毎日おこられています。」という事、学生時代にはなに一つやり遂げていない事位しか思い浮かばないのです。

 

 「自己紹介」というテーマで社長から学生以来の宿題を与えられて2週間、自分の人生について思い返してみました。色々思い出してみると、今、4歳になる子供の親として自分の過去を情けなく思うこと、今でも恥ずかしくなるようなことをたくさん思い出すわけで、そのひとつひとつを思い出していく度に、「バカたれめ」などと恥ずかしまぎれに独り言をつぶやきつつ「楽器担当」というテーマでなんとか自己紹介を書いてみました。

 

 私は東京都国立市で生まれ、中学校卒業まで国立市、高校卒業まで滋賀県大津市で育ちました。大学は岡山の大学に4年間在籍しましたが、留年をきっかけに、大学を中退しました。その時の自分には大学に通う意味もなくなっていて、「どうにでもなれ」的な気分と、

だらだらと生活することで学生生活では知り合うことのできなかった人達との出会いもあり、何か別のことで自分に出来ることがあるはずというまるっきり根拠のない自信を持ちつつ、緊張感の無い日々を送っていたように思います。

 

  楽器に興味を持つようになったのはそんな大学生の時です。

大学生の時に住んでいた下宿の近くにアコーステイックギターショップがOPENした事がきっかけで、楽器に興味を持つようになりました。それまで楽器は練習するもので上手・下手という事や好きなアーティストの曲を練習する道具という認識しかなかったのですが、近所にギターショップがあったということもあり、たくさんの楽器を弾かせてもらうことが出来ました。私は日々、色々なギターを弾く事で楽器の材質や年代、作り方によって全然音色が違うことを感じることが出来るようになり、おもしろさを感じ始めていました。しばらくして、そのアコースティックギターショップでアルバイトをするようになります。この頃、楽器をとおして、職業も年齢も関係なく、普段かかわりのないたくさんの人たちが「音楽や楽器」といった共通の話題で交流できることに不思議さと面白さを感じ始めていました。

 

 

 アール・エイチ・ワイに初めて来たのはその頃です。私がアルバイトをしていたギターショップでアコースティックバンドを作る事になり、そこで小・中学生の時にならっていたバイオリンを弾くことになりました。でも、10年以上バイオリンにほとんどさわっていない上、楽譜を見ながらかろうじて弾ける程度。バンドの中で「何を弾いたらいいかわからないな~」と思っていた時に、偶然ホームページでアール・エイチ・ワイのジャズバイオリン教室というのを見つけ、通うことにしました。

 ジャズバイオリン教室には3年くらい通っていたと思います。3年間通う中で、アール・エイチ・ワイの社長によく話をしてもらうようになりました。特にギターの事について教えてもらうことが多かったように思います。当時のアール・エイチ・ワイにはギターがたくさん並んでいて、自分がアルバイトをしているギターショップよりもヴィンテージのギターがたくさんありました。楽器ひとつひとつについて社長がする話も、楽器の見方も自分が知っているものとはまるで違うレベルのものだったので、話をしてもらったり教えてもらうのはとても楽しい時間でした。楽器のことや修理の仕方、時には防音室の作り方などを教えてもらい、アール・エイチ・ワイから岡山へ帰る時、目の前でメモを取るのは何だか失礼な気がして、恥ずかしさも有り、教室を出てから駅のベンチやビルの階段に座って「覚えているだけでも・・・」とメモをこっそり取っていたのを覚えています。

 

アール・エイチ・ワイには社長に声をかけて頂き、入社しました。

社長に声をかけてもらったのは大学を退学して半年くらいしてからだったと思います。

社長には大学を中退しようかと思うという話をしたことがあり、その時は「大学に行ったのだから卒業はしておいたほうがいい」と言われていたので「こえをかけてもらっていいの?」という気持ちもありました。後で声を掛けてくれた理由を聞いてみると「岡山からわざわざ3年もバイオリンを習いに来る変わった奴だから」という事だったようです。

 

 アール・エイチ・ワイで働くようになるまでしっかり学生生活を送るでもなく、就職するわけでもなく、という生活を送っていましたので、働き始めてからは失敗ばかり。その上毎日体験レッスンや入会される方がどんどん増えていくという毎日で、日々誰かに迷惑をかけているのではないか、失敗は無いかとドキドキしながら毎日を送っていました。今、思えばドキドキすることの無いよう準備できることがたくさんあったと感じます。その頃はそんな事に気づくこともできず、日々ドキドキしながら何かあったら毎回慌てて・・・という日々を繰り返していました。この頃に迷惑をかけてしまった方々のことを思うと今も穴があったら入りたいような気持になることがたくさんあります。

 

弦楽器を扱わせてもらえるようになったのは入社してから3年目か4年目くらいだったと思います。始めのころはメーカーのヴァイオリンがほとんどでした。メーカーのヴァイオリンは見た雰囲気や色味がほとんどの場合同じように見えて、ギターのように素材が違うわけでもなく、音色に関しては自分自身、音色が違うことが分かるほどヴァイオリンを弾けるわけではなかったので「ギターほどの違いは感じられないなぁ」と勝手に思っていました。

 ヴァイオリンが面白くなってきたのは楽器を扱い始めてから数年たってからでした。面白かったのは特にアンティークのヴァイオリンや弓で、社長から1本づつ入荷した楽器や弓の特徴を教えてもらっていくと少しづつ楽器を見るのが面白くなってきました。

 アンティークの弦楽器には工芸品の要素があるものも多く、ギターで聞く話とはまた違った面白さがありました。削り方や楽器自体の左右のバランスの違い、立体感や迫力を感じられる楽器やそれほどでもない楽器、弓の形の力強さや弓の削り面の柔らかさなど・・・・一本ずつ楽器の違いを発見するのを今もとても面白く感じています。

 

 楽器を1本ずつ自分で見ていくことや、社長やディーラーの方から教えて頂いた事で得られる発見が面白くて、つい話したくなってしまうので「しゃべりすぎ」と怒られてしまうこともよくありますが、これからも日々成長、まだまだ勉強中ではありますが、楽器の面白さを皆様に感じて頂けるお手伝いをさせてもらえたらと思っております。